乾燥肌にワセリンを使ってみるのはどう?

乾燥肌にワセリンを使ってみるのはどう?

バリア機能が不足した乾燥肌の改善にはワセリンがおすすめです

乾燥肌にワセリンがよいと聞いたけど本当でしょうか?
ワセリンは数百円で購入できますが、そんなに安いのに乾燥肌がよくなるなんて信じられません。
ワセリンは手や唇の荒れ予防に使っています。とても手がスベスベになるので、スキンケアにも使いたいと思っています。でも、ワセリンを顔全体にぬるのはちょっと抵抗があります。逆に荒れてしまったらと不安です。

このように、ひどい乾燥肌に悩む人たちがワセリンに注目しているようです。

ワセリンとは?

原油を高純度に精製して作られた皮膚を保護する保護剤です。刺激も少なく安全性も高く、クリニックなどでも処方されています。

ワセリンをお肌にぬると、薄い保護膜をつくり、お肌から水分が蒸発するのを防ぐことができます。そのためワセリンは、カサカサした乾燥肌の予防、改善におすすめなのです。

さまざまな成分が入っているクリームとは違い、ワセリンは天然素材でお肌への負担もなく、もともとお肌が弱い人、アトピー性皮膚炎や敏感肌でも安心して使うことができます。ワセリンを上手に使って乾燥肌を改善するスキンケアの方法を紹介します。

乾燥肌のスキンケアにワセリンを使う方法

乾燥肌のスキンケアにワセリンを使う方法
ワセリンは、お肌の乾燥予防だけでなく、お肌のバリア機能が低下した乾燥肌や肌荒れなどにもよいとされています。

このバリア機能とはなんでしょうか?

そもそも乾燥肌とは、お肌の表面をおおっている角質層の水分が不足している状態のことをいいます。
角質層内は、角質細胞が重なった状態になっています。角質細胞には水分を保持する「天然保湿因子(NMF)」が存在しています。
その角質細胞と細胞がブロック状に重なったすき間を、セラミドや遊離脂肪酸、コレステロールなどの「細胞間脂質」が接着剤のようにすき間を埋めています。
角質層内のこれらの成分がお肌の水分を保持し、外部の刺激から守る皮膚のバリア機能を果たしています。

しかし、角質層内の成分が正常に機能しなくなると、バリア機能が低下してお肌は乾燥してしまいます。ワセリンはバリア機能を果たす成分「角質細胞の天然保湿因子」の働きをサポートする作用があるとされているのです。

バリア機能を高めて乾燥肌トラブルを防ぐ方法

ワセリンの特徴とメリット

原油を原料としたワセリンは、保湿成分や美容成分などまったく入ってない天然由来のオイルです。余計な物が入っていないので、敏感肌や乾燥肌などどんな肌質でも安心して使うことができます。

何も添加されていないため、美容液や化粧水などのように、角質層に栄養を与えることはできません。残念ながら、お肌に潤い、ハリやツヤを与えるなどということも期待できません。

ワセリンは角質層まで浸透することはなく、肌表面に膜をつくりお肌を保護するものです。水に強く、空気中のホコリや花粉、化学物質など外部の刺激からお肌を守ってくれます。

ワセリンをスキンケアに取り入れる方法

ワセリンはお肌の表面を保護する優れた作用を持っています。しかしお肌に水分や潤いを与える役割はありません。そのためワセリンだけを使った保湿ケアを行うことはできません。

ワセリンをスキンケアで使う場合は、洗顔後に化粧水でたっぷり水分を補給して、その上にワセリンを塗って、水分を閉じ込めることが大切です。ワセリンだけの保湿ケアでは逆に乾燥肌が悪化してしまいます。

ワセリンを使ったケアを紹介します。

ワセリンは伸びがよいので、量が多過ぎるとベタベタとして不快を感じることもあります。また多量にぬってしまうと、空気中のホコリや菌を余計にキャッチして肌荒れを起こしてしまう原因にもなります。

温度によっても硬さが変わるので、使用する量には気をつけましょう。ワセリンを手に取ってしばらくすると体温で温まり、伸びがよくなります。
ベタつきが気になる時は、ティッシュで優しく拭き取って量を調整しましょう。

1.顔の保湿ケア

化粧水でしっかりと水分を補給し、その後にワセリンを米粒1つ分ほど手に取ります。顔全体にぬり、両手で顔を包み込むようにしてなじませます。乾燥が目立つ部分は優しく押さえるようにつけるとよいでしょう。

2.クレンジングとして

ワセリンはオイル100%なので、クレンジング剤として使うこともできます。

クレンジング剤にはお肌の負担となる合成界面活性剤が配合されています。合成界面活性剤はお肌にもともとある保湿成分を一緒に洗い流してしまうともいわれており、乾燥肌を悪化させる原因でもあります。

お肌に優しい天然素材のワセリンでクレンジングをしてみましょう。

クレンジングの方法は、ワセリンを手に取り体温で温めてから、お肌に載せて指でクルクルと回しながらメイクとなじませていきます。メイクが浮いてきたらコットンでふき取ります。

洗顔・クレンジングで注意したい肌に悪い成分

3.化粧下地として

ワセリンはメイクの化粧下地としても使用することができます。

使い方は、お肌を化粧水や美容液で整えたら、少量のワセリンを手のひらで顔全体にのばしていきます。両手で顔全体を包み込み、ハンドブレスでつけると仕上がりがサラサラになります。

いつもの化粧下地よりもファンデーションがお肌に吸いつくように密着します。日中のメイク崩れ防止にもなります。

またメイク直しもワセリンが大活躍します。目の回りなどのメイクを直すときは、ワセリンを綿棒に少量とり、優しく崩れたメイクを拭き取ります。キレイになったお肌にメイクをし直しましょう。

4.唇のケア

ワセリンはリップクリームの原料として配合されている成分でもあります。ワセリンをカサカサに荒れた唇の上に指先でなじませまると、かたい皮が柔らかくなります。

ひどい荒れた唇のケアには、ワセリンをたっぷりぬってラップをして5分ほどおきます。しっとりとした唇によみがえります。

5.ハンドケア

ハンドクリームとして日常から使うことができます。とくにひどい肌荒れには化粧水でたっぷりと水分を補給してから、ワセリンをたっぷりとぬり、綿の手袋をつけるとよいでしょう。

就寝前にハンドケアを行うと翌朝はだいぶ肌荒れが改善されているでしょう。

6.かかとのケア

カサカサかかとのケアにもおすすめです。少量のワセリンをかかとに塗り、マッサージしながらなじませましょう。お風呂上がりにケアするとよいでしょう。

また新しい靴を初めてはく日や、はき慣れない靴をはく日など、かかとにワセリンをぬっておくと靴ずれ防止にもなります。

7.ヘアトリートメントとして

パサパサの乾燥した髪の毛や、傷んだ髪のトリートメントとしても使用できます。

ドライヤーでしっかりと乾かした髪で行います。

使い方は、ワセリンを手のひらにとり、両手をこすり合わせて体温で温めます。毛先などパサつく部分にワセリンをなじませます。量をつけ過ぎると髪がベタつくので注意しましょう。

また、ワセリンを塗ってからブローすると、ドライヤーの熱によって髪が傷みやすくなることがあるのでやめましょう。

オリジナルハンドクリームを作ろう

オリジナルハンドクリームを作ろう
乾燥する季節や水仕事をした後など、手のお手入れにハンドクリームは欠かせません。肌質を選ばずどんなお肌にも優しい天然素材100%のワセリンは、毎日使いのハンドクリームにおすすめです。

ワセリンに自分好みの香りを入れてオリジナルハンドクリームを作ってみましょう。香りつけにはエッセンシャルオイルを使います。

おすすめのエッセンシャルオイルを紹介します。
好きな香りと、期待できる作用もあわせて選んでみるとよいでしょう。

イランイラン

リラックス、安眠、女性ホルモンを整える、皮脂のバランスを整える作用などが期待できます。

ゼラニウム

血行促進、自律神経のバランスを整える、シミ予防などが期待できます。

フランキンセンス

免疫力向上、抗ストレス、肌のターンオーバーの改善、気持ちを落ち着ける、鎮痛作用などが期待できます。

ラベンダー

リラックス、免疫力向上、抗炎症、鎮痛作用、安眠効果などが期待できます。

ローズ

女性ホルモンを整える、抗ストレス、抗炎症作用などが期待できます。

用意するもの
  • 白色ワセリン
  • エッセンシャルオイル
  • 容器(エッセンシャルオイルの耐性があるプラスチック製またはビン)
  • へら
作り方
  1. しっかりと洗浄し、乾燥させた清潔な容器に白色ワセリンを8分目まで入れます。
  2. 1の容器にエッセンシャルオイルを数滴入れて混ぜます。エッセンシャルオイルの希釈濃度は1%以下が目安です。

ワセリンの種類と使用の注意点

【皮膚科医監修】ワセリンの種類と使用の注意点
ワセリンは赤ちゃんにも使える、安全性の高いお肌の保護剤です。お肌への刺激が低いワセリンですが、いくつか種類があります。

純度が低いワセリンほど色は黄色っぽい色をしています。黄色いワセリンをさらに精製して不純物を取り除いた精度の高いものが白い色のワセリンです。

最も精度の高いワセリンは、医薬品としての扱いとなるプロペドです。クリニックや皮膚科などで処方されます。

黄色ワセリン

価格は安く、ドラッグストアなどどこでも手に入ります。精製度が低いため、顔にぬるワセリンには向いていません。敏感肌の人は刺激を感じることがあります。

白色ワセリン

黄色ワセリンよりも精度が高く、医薬品または化粧油として販売されています。乾燥肌、敏感肌、アトピー肌の保護剤として使うことができます。

ワセリンは全くお肌への影響がないとは言い切れません。純度の低いワセリンを顔にぬると、紫外線と反応してオイル焼けを起こす場合もあります。またぬり過ぎると乾燥を悪化させる可能性もあります。

お肌の弱い人、原材料に不安のある人は、クリニックや皮膚科で処方されたものを使うとよいでしょう。

(まとめ)お肌を優しく保護して、乾燥肌の改善を目指しましょう

1.ワセリンの特徴
2.ワセリンをスキンケアに取り入れる方法
3.オリジナルハンドクリームを作ろう
4.ワセリンの種類と使用の注意点

赤ちゃんから大人まで使えるワセリンは、乾燥肌の強い味方です。皮膚に保護膜をつくり、水分の蒸発を防ぎ、外部の刺激からお肌を守ります。

安全性の高いワセリンですが、ぬり過ぎると乾燥肌を悪化させる場合もあります。少量でもよく伸びるワセリンの特性をよく理解し、毎日のスキンケアに取り入れて乾燥肌を予防、改善していきましょう。

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