乾燥肌に悩んだら知っておきたい栄養素

保湿と食材の栄養素で乾燥肌は改善できる

寒い時期は外気の乾燥で、肌がカサカサ。暑い時期はエアコンの風で肌が乾燥。

こんなお悩みがありますよね。また、Tゾーンはベタベタしているのに、頬や目元はカサついているということも。

カサカサする原因は1つではありません。外側、内側の両方のアプローチで乾燥肌を改善できる方法がありますので、生活習慣を変えてみましょう。

肌の仕組みと働き

私たちの肌は「表皮」・「真皮(しんぴ)」・「皮下組織」に分類されます。一番上にあるのが表皮でこれだけでも4層に分かれているのです。

その下に真皮と皮下組織があります。表皮は、外側の刺激から守ってくれる大切な部分で、4層に分かれてはいますが厚さは0.2 ㎜ほどです。

肌の代謝の流れをターンオーバーといいますが、約4週間で行われ、新しい肌へと生まれ変わります。ターンオーバーが乱れてくると肌トラブルが出てきますので注意が必要です。

次の真皮は、コラーゲンとエラスチンなどの成分でできており、ハリと弾力の元。コラーゲンとエラスチンが減少すると、しわやたるみの原因となります。

そして皮下組織は、一番下にあり、表皮と真皮を支える役目です。乾燥肌はターンオーバーが乱れると起きますので、肌ケアをしっかりと行いましょう。

表皮の働き

表皮の働き
表皮は4層に分かれており、0.2 ㎜ほどの厚みです。一番上にあるのが角質層、次に顆粒層(かりゅうそう)、その下に有棘層(ゆうきょくそう)、そして一番下に基底層です。

底の部分にある基底層は細胞分裂を繰り返し、新しい皮膚を生成する役割。次の有棘層ですが4つの層の中で一番厚みがあり、様々な細胞が分裂を繰り返し、その上の顆粒層にはケラトヒアリン顆粒と呼ばれる紫外線を反射させ、浸透を防止する役目のタンパク質から構成された成分があります。

ようやく次が、角質層です。今までの下層で細胞分裂を繰り返し、ターンオーバーによって押し上げられた細胞は、一番上にある角質層にたどり着くのですが、この期間が4週間ぐらい。

細胞分裂を繰り返した、死んだ細胞が角質となり肌の表面に何層にもなって、溜まっています。角質層は紫外線や細菌の侵入を防ぐ役割もあり、正常な状態で水分を15~20 %ぐらい含んでいるところです。

肌の乾燥を感じる時は、この角質層が乱れた状態でもあります。

真皮の働き

肌の土台ともいえる真皮(しんぴ)はコラーゲンが大部分を占めており、ヒアルロン酸とエラスチンで肌の弾力と水分を保っています。線維芽細胞と呼ばれる細胞が作っており、古いものは分解されていくのです。

これらの成分が減少するとしわやたるみの原因となり、老化が進むことになります。とても薄く平均1~2 ㎜ぐらいで、まぶたなどは0.6 ㎜ほどしかありません。

背中が一番厚みがあり、それでも3 ㎜程度です。手や足の甲に血管が浮き出て見えますよね。

これは真皮が薄いから見えているのです。また背中は真皮が厚い分、体温保持という役割も持っています。

真皮は皮膚の健康を左右する場所でもありますので、ストレスや紫外線などでコラーゲンが減少することがないように、生活習慣を整えることが大事です。ハリと弾力があるのはこの真皮のおかげですので、ターンオーバーが正常に行われていれば、健康な肌を維持できます。

皮下組織

肌組織に栄養を届ける役割がある皮下組織は、老廃物を排出する役割もあります。表皮と真皮を支えていて、一番下に位置する部分で、大部分が皮下脂肪なのです。

クッションのような役割をしていて、熱を伝えにくくする、衝撃や刺激を和らげる、といった性質を持ちます。表皮をサポートするための栄養も蓄えており、なくてはならない層です。

筋肉、骨を皮膚とつなぎ合わせているのもこの皮下組織。血管、リンパ管、神経の保護もしています。

脂肪ではありますが、体を守るためには必要で体温維持の役割も持っているのです。しかし、皮下組織が増えると皮脂の分泌が増えるので吹き出物ができやすくなったりすることがあります。

栄養が偏ることでなりますので、肌の状態を考えるとなるべく増やさないほうがいいですね。ビタミンを多く摂取するなどで改善もできるので、肌荒れする前に予防するのがおすすめです。

食事で肌荒れを改善できるよう日頃の食生活を見直してみましょう。

肌のターンオーバーについて

肌のターンオーバーについて

ターンオーバーとは?

表皮が新しく生まれ変わるサイクルのことです。約4週間ほどでターンオーバーは繰り返されるのですが、加齢と共にサイクルは遅くなるといわれています。
一番下の基底層で新しい細胞が生み出されていて、分裂を繰り返しながら上へ押し上げられていきます。20層ほどにもなる死んだ細胞が、やがて垢となり剥がれ落ちることで1つのサイクルになります。日焼けの黒い肌が元の肌に戻るのは、このターンオーバーの仕組みによるものです。

しかし、このターンオーバーのサイクルが乱れる時があります。加齢や紫外線、ストレスなど、原因は様々です。ターンオーバーのサイクルが乱れると、乾燥したり、肌荒れを起こしたりと肌トラブルが出てきます。

サイクルを整えるには「保湿」が鍵です。肌が潤い、瑞々しく整えば、古い角質がはがれ新しい細胞が生まれやすくなります。古い角質を取り除くことも効果が期待できますよ。

ただ、無理に擦るようなやり方は逆に肌を傷めます。優しく拭きとるような角質ケアができる化粧水などがおすすめです。

また肌の代謝を促すといわれている「レチノールも効果」が期待できます。ターンオーバーを促せる自分に合ったコスメを探すのもいいですね。

乾燥肌を悪化させないためのスキンケアについては、下記の関連ページもおすすめです。
乾燥肌のための洗顔・クレンジングのコツ

健康な肌と乾燥肌の違い

健康な肌と乾燥肌の違い
カサカサに乾燥した肌と瑞々しく健康な肌は、いったい何が違うのでしょうか。見た目はもちろん違いますが、肌の内部はどのような違いがあるのか気になりますね。

通常、健康な肌はキメが整っており、水分量と油分がバランスよく保たれています。ターンオーバーも規則正しく行われており、真皮の状態も良い。

真皮の状態が良いと、弾力とハリがあります。水分量が保たれていると潤いがありますね。

古い角質もターンオーバーが整っていれば、溜まることは少ないです。一方、乾燥肌はどのようになっているのでしょうか。

加齢や冷暖房による乾燥、紫外線など原因は様々ですが、水分を蓄える力が弱っていると乾燥を招きます。そしてターンオーバーのサイクルは乱れてしまっていると考えられます。

まずは乾燥しないスキンケアをしてみましょう。

乾燥肌の原因

主に乾燥肌の原因は水分量の減少です。肌の上で水分を保てなくなることが原因の1つです。また、水分だけではなく皮脂も少ないことが原因です。どちらも減少すると肌のバリア機能が低下しやすくなります。
バリア機能とは?

バリア機能とは?

外部の刺激から肌を守り、水分が失われないようにする肌の機能のことです。水分保持をするセラミド、水分を引き寄せる機能がある天然保湿因子、水分の蒸発を防ぐ皮脂膜の3つが「バリア機能の3因子」と呼ばれるものです。

乾燥しないためには、水分と皮脂と、両方が整っていなければなりません。肌の上に水分を保つ機能はセラミドですが、そもそも水分がなければ保てませんので、補う必要があります。

しかし、水分が必要だからといって化粧水をひたすら塗るということでは、補うことはできません。刺激の少ない、乾燥肌に合った適切なスキンケアが必要になります。

また、水分を補える美容液の導入も効果が期待できますので、スキンケアを見直してみましょう。

乾燥肌に不足しているもの

乾燥肌に不足しているもの
カサカサ乾燥肌には保湿が必要ですが、ただ水分を補えばいいわけではありません。いくら化粧水をつけても保てる機能が低下していては、補えませんね。

特に肌に不足しているものを補えなければ、乾燥は止まらず、ターンオーバーのサイクルも乱れたままです。乾燥肌に不足していると考えられるものは、ヒアルロン酸・コラーゲン・エラスチンの3点です。

バリア機能が低下している時は水分が少ないので、水分をキャッチできる成分が必要となります。肌の内部の真皮には、これら3点の成分が備わっているのですが、不足していると乾燥を招きカサカサに。

これらの成分は似ているように思いますが、それぞれの働きには違いがあります。肌の内部で形成されるようにスキンケアで補ったり、足りない部分を美容液で導入したりするのも効果が見られますので頑張ってみましょう。

ヒアルロン酸

水分を補うといえばヒアルロン酸をよく耳にしますが、どのような働きをしているのでしょうか。肌の内部である真皮に存在しており、水分保持をする機能があります。

皮膚の柔軟性もこのヒアルロン酸が関係していて、なくてはならない成分です。ヒアルロン酸は1gで6ℓも水分を保持できるといわれており、肌に潤いを与えています。

つまりヒアルロン酸がたっぷり満たされていると瑞々しい肌になるのですね。ハリと弾力もあり、若々しい印象を与えます。

しかし、ヒアルロン酸もずっと肌にあるわけではありません。加齢により減少していくもので、40代を境に少なくなり、50歳のヒアルロン酸量は20歳の約半分にもなるといわれています。

水分保持を担うヒアルロン酸が減少すると、乾燥肌を招き、しわやたるみ、シミの原因にもなるので、なんとか補いたいですね。食事で補うことは難しいとされていますので、普段のスキンケアにプラスしてみるといいでしょう。

原液を化粧水や乳液と合わせて使用するのが手軽でいいのではないでしょうか。しっとりした使用感が得られますので乾燥肌対策にも効果が期待できます。

コラーゲン

肌の弾力の元であるコラーゲン。こちらの成分も真皮に存在し、70 %ほどありますが、ヒアルロン酸と同じく、加齢に伴い減少していく性質があります。

コラーゲンが生成されているのは線維芽細胞という細胞なのですが、加齢で活動が弱まってくるのです。作られにくくなってくるので、コラーゲン量も減少するのですね。

肌の弾力がなくなると、しわやたるみが出ます。これはコラーゲンが減少したことでも起こりますので、いかに大事か分かりますね。

ならばコラーゲンも化粧水に混ぜれば補える、と思いがちですがヒアルロン酸とは違い、塗っても補うことはできないとされています。しかし、バリア機能をサポートできるといわれていますので、本来のハリを保つ働きとは違いますが塗っても全く意味がない、ということではないようです。

保湿効果がありますので、乾燥肌を潤わせる機能として肌に留まることができます。食事に補う美容法もありますが、本来の働きをサポートすることはできないとされていますので、ハリと弾力が戻るとは限らないようです。

エラスチン

エラスチン
エラスチンという成分はあまり聞きなれないものかもしれません。ヒアルロン酸とコラーゲンは化粧品、食品でよく話題になるのでご存じの方も多いですね。

このエラスチンというのは、真皮の中に存在するヒアルロン酸、コラーゲンに続く3つ目の成分。ハリやしわに深く関わっており、コラーゲンを結び付けハリと弾力を肌に与えます。

弾力繊維であるエラスチンが切れたりゆるんだりすることで、しわが生み出されていくのです。肌の弾力がなくなるので、たるんだ皮膚が元に戻らずしわになります。

ハリを保つにはエラスチンがなくてはならないのです。エラスチンは食材で摂取が可能ではありますが、微量でなかなか食事からというわけにはいきません。

カツオがエラスチン摂取の食材で1匹から数グラムとかなり少ない量なのです。さすがに何匹も食べるわけにはいきませんので、サプリメントから摂取することをおすすめします。

しかし、エラスチンだけを摂取していても肌は弾力を取り戻せません。一緒にコラーゲンを摂取したり、ヒアルロン酸で保湿をしたりと、スキンケアと食生活で取り入れてみてください。

乾燥肌に必要な栄養素

乾燥肌に必要な栄養素
乾燥肌を治すために化粧水や美容液など外側から働きかけるのが改善策ではありますが、内側からもアプローチしてみましょう。カサカサの乾燥肌に効果があるとされている栄養素は、タンパク質・ビタミン・必須脂肪酸の3点です。

タンパク質は肌のターンオーバーに効果があるとされていますので、積極的に摂取したいですね。肌にはタンパク質が必要で、ターンオーバーが整えば乾燥肌は改善されていきます。

肉・魚どちらにも含まれており、無理なく補える食材です。次の栄養素はビタミンですが、種類がたくさんありますね。

サプリメントでも配合されているビタミンB2・B6・B12やビタミンEなども乾燥肌の改善につながります。そしてもう1つは必須脂肪酸です。

体を作るのに大事な栄養素で、オメガ3系・オメガ6系などがあります。

タンパク質

効果がある栄養素1つ目はタンパク質ですが、これは細胞の原料となる大切な栄養素です。肉・魚・大豆に多く含まれ、とても摂取しやすい栄養素でもあります。

タンパク質が不足するとターンオーバーが整わず、肌の水分保持力が低下してしまうのです。乾燥肌で大事なのは水分量ですので、これが減少するとカサカサの肌に。

大量に摂取する必要はありませんが3食、きちんと食事をとってバランスの良いメニューを考えてみてください。特に朝食はあまり食べないという方も多いと思いますが、1品加えるだけでも構いません。

手軽に摂れるタンパク質は大豆製品です。食べやすい豆腐や納豆などを朝食に加えてみませんか。

豆腐はサラダにしたり、お味噌汁に入れたりとどんな調理法にも合います。また、ハムやベーコンといった肉類もタンパク質が豊富です。

卵もタンパク質が多い栄養素として有名。ベーコンエッグやスープにするなど、手軽に調理できるメニューでタンパク質を補いましょう。

ビタミン

次はビタミンですが、肌を作る栄養素はビタミンB2とB6・B12です。肌の再生を促し、アミノ酸の吸収をサポートする効果があります。

ビタミンといえばビタミンCも有名ですね。コラーゲンの生成をサポートする役割があり、活性酸素の除去にも効果が期待できます。

サプリメントでもビタミンB2やB6・B12は配合されていますが、これらはターンオーバーを整え、肌荒れを防ぐ働きがあるので、積極的に摂取したい栄養素です。また、ビタミンEも乾燥肌に効果があり、血行促進に期待できます。

これらの栄養素がどのような食材に含まれるのかというと、野菜や肉、魚にも含まれていますよ。分かりやすいのはビタミンCで、柑橘類に多く含まれ、レモンやオレンジなどです。

柑橘類以外ですとイチゴや野菜ならばブロッコリーや小松菜など。他のビタミンですとB2は豚レバーやモロヘイヤに多く、B6は鶏むね肉やジャガイモなどにも含まれます。

B12は魚介類に多く、アサリ、牡蠣、ホタルイカなどです。バランスよく摂取したい栄養素ですね。

必須脂肪酸

必須脂肪酸のオメガ3系とオメガ6系は肌細胞の細胞膜を作る栄養素。脂肪と呼んでいますが体に良い、必要な脂肪酸で積極的に摂取したい栄養素の1つです。

確かに脂肪は、あまり摂りたくないように思いますが、エネルギーを生産したり、ビタミンの吸収を助けるなど、様々な働きがあります。そして必須脂肪酸のオメガ3系は血液の流れを良くしたり、骨密度を高めたりする働きが期待されているのです。

オメガ6系はコレステロール値を下げる効果もあるといわれています。どちらも体内で合成できませんので、食事から摂取する必要があるのです。

オメガ3系はサバやイワシといった青魚に多く含まれ、えごま油や亜麻仁油といったものにも含まれます。リノール酸であるオメガ6系はコーン油や大豆油に多く含まれていますので、揚げ物をする際にこの油で揚げたりすると手軽に摂取できますね。

美味しく手軽に摂取できる方法を考えてみましょう。

乾燥肌におすすめな料理

乾燥肌におすすめな料理
いくつもある肌に良い栄養素ですが、全部を毎食摂るのは大変ですね。どのようにして摂取すると良いのでしょうか。

まずタンパク質ですが、肉・魚両方に含まれているので調理しやすい食材を選んでメインにするといいですね。大豆にもタンパク質が含まれますので、汁物やサラダにするのがおすすめです。

同じものをずっと食べ続けるのは飽きてしまいますので、肉と魚はローテーションでメニューに加えるのがいいと思います。ビタミンの場合はサラダにすると毎食に食べても負担がないですね。

その際に必須脂肪酸のオイルで作ったドレッシングをかけると栄養素がたくさん摂れておすすめ。サラダが大変であれば、野菜ジュースで補うこともできます。

大量の野菜を食べるのであれば、スープはどうでしょうか。たくさんの種類をいっぺんに食べられますので、3食にしてもいいですね。

スープならば持ち運べますので、専用のポットに入れてお昼に食べることも。自分だけでなく家族でも食べられます。

嫌いな食材もスープにして煮込んでしまえば、気にならず食べられるのでおすすめの調理法ですよ。ビタミンBが豊富な卵はタレに使用したり、汁物に入れたり、朝食にベーコンなどと一緒に食べたりしやすい食材です。

味を変えるのにも一役買ってくれますので、卵をプラスするのはいかがでしょうか。肉にも魚にも相性がいいので、食べやすい調理法で摂取してみてください。

年齢別の乾燥肌の原因や改善方法については、下記の関連ページもおすすめです。
乾燥肌のためのスキンケアまとめ

まとめ

1. 乾燥肌にはコラーゲンとヒアルロン酸が大事
2. 水分量の低下はしわやたるみの原因にもなる
3. ターンオーバーを整えるためには保湿が必要
4. 外側からのアプローチは美容液などでプラスすると良い
5. 肌に良い栄養素を摂り入れ内側からも働きかける

肌の仕組みを考え、ターンオーバーを整えられるようにスキンケアをして、乾燥肌だけでなく、しわやたるみのケアも行うと肌の状態が良くなります。ヒアルロン酸やコラーゲンなどは加齢と共に減少していくので、補えるよう美容液などで導入してみましょう。

外側からだけでなく、内側からもアプローチできるように食生活を改善し、3食まんべんなく栄養素を摂るのも大事です。

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