乾燥肌の原因はどこからやってくるの?

乾燥肌の原因はどこからやってくるの?

乾燥肌の原因は、季節、加齢、生活習慣、食生活などさまざまです

乾燥肌の原因は、季節、加齢、生活習慣、食生活などさまざまです
「最近、口元が乾燥してシワが目立ってきた」
「冬でもないのに、肌が乾燥してカサカサする」
「いつもと変わらないスキンケアをしているのに、急に乾燥肌が気になってきた」

20代の頃は脂性肌でニキビに悩まされていたけれど、30代に入った途端、急に乾燥肌に悩まされ、40代になってからは冬でもないのに肌全体が乾燥して困っている…という人が多くいます。

いつもと変わらないスキンケアを続けているのに、急に自分の肌質の変化を実感し、驚いてしまうのはどうしてでしょうか。

実は、若い頃は気にならなかった肌の乾燥は、加齢や生活習慣、食生活などの影響を受け、ボディーブローのように私たちの肌にダメージを与えています。そして、何かのきっかけで私たちに乾燥という牙をむき出します。

気がついた時にはすでに砂漠のような乾燥状態におちいらないためにも、乾燥肌に対して正しい知識と対処法を知っておくことは大切です。

乾燥肌はどこからやってくるのか、乾燥肌にならないためにはどうしたらいいのか、万が一乾燥肌になってしまった場合にはどのように対処すればいいのか、乾燥肌について一緒に考えていきましょう。

いつ、どこからやってくるかわからない、乾燥肌とはどんな肌?

そもそも、私たちの肌は、縦軸に角質層の水分量、横軸に肌表面への皮脂分泌量を設定した場合、4つのカテゴリーに分類できます。

1.角質層の水分量が多く皮脂量が少ない肌
水分で潤った肌の毛穴は小さくきめも整っていますが、バリア機能が低下しやすく、環境などの影響を受けやすい特徴があります。

2.水分量、皮脂量ともに多い肌
潤いがある反面、皮脂の過剰分泌で毛穴が開く、詰まるなど肌トラブルに悩まされやすい肌です。

3.水分量が少なく皮脂量も少ない肌
水分不足で乾燥による肌荒れをおこしやすい特徴があります。

4.水分量は少ない反面、皮脂量が多い肌
ある部分はべたつき、ある部分は乾燥するといった特徴があります。

医学的に「乾燥肌」という専門用語はないため、ここでは皮脂量の多少に関わらず、角質層の水分量の不足により部分又は全体が乾燥状態にある肌を乾燥肌として取り上げていきます。

「角質層の水分量が少ない」ってどういうこと?

「角質層の水分量が少ない」ってどういうこと?
本来、私たちの肌の角質層には保湿の役割を担っている細胞があります。しかし、なんらかの理由で角質層の水分量が少ない状態におちいっていることがあります。これを乾燥肌と言います。

乾燥肌は、肌にある角質層が本来持っている保湿力を十分に発揮できていない状態を意味しています。で
は、私たちの肌は本来、角質層にどのような水分保持、維持のしくみを持っているのでしょうか。

実は、角質層には保湿に関わる3つの因子が備わっています。3つの因子にはどのような特徴があるのかをみていきましょう。

1. 角質層にあるのは、天然保湿因子(NMF)と細胞間脂質

角質層には、保湿にかかわる2つの因子があります。ひとつは、天然保湿因子(NMF)です。天然保湿因子は、角質層の中で水分を保持することで、肌の弾力性を保つ働きがあります。

天然保湿因子は細胞内のタンパク質が角質層に押し上げられることで生成します。

天然保湿因子の生成不良は角質層の下にある「顆粒層(かりゅうそう)」の生成の鈍化につながるため、肌のターンオーバーと相関関係にあります。

天然保湿因子は、アミノ酸、ミネラル、尿素といった成分から成り立っており、肌が持つ水分の保持力の約18%を天然保湿因子が担っているといわれています。

2.肌が持つ水分保持力の約80%を担うのは、細胞間脂質

角質層の中で、天然保湿因子のほかに保湿に関わる働きをしているのは、細胞間脂質です。細胞間脂質は、角質細胞同士のすき間を埋めるように存在する脂質です。

ウィルスなどが外部から角質細胞のすき間に侵入するのを防ぎ、体の中の水分を蒸発させない役目があります。

細胞間脂質はセラミドや遊離脂肪酸といった成分から成り立っています。また、細胞間脂質は肌が持つ水分保持力の約80%を担っているとも言われています。

細胞間脂質も、肌のターンオーバーの過程で生成されるため、ターンオーバーの周期が長くなるなど乱れたときには、大きな影響を受けることがわかります。

3. 角質層をおおっている皮脂膜

ここまでで私たちの肌の角質層には、天然保湿因子と細胞間脂質が存在し、水分を保持する役目を担ってくれていることがわかりましたね。

この角質層のさらに表面にあるのが、皮脂膜です。この皮脂膜自体の水分保湿に対する貢献度は、約2%です。天然保湿因子や細胞間脂質と比較したら、保湿に関する貢献度は低いと言えます。

しかし皮脂膜には汗腺があり、汗が分泌されています。また、皮脂膜にある毛穴から皮脂が分泌されており、皮脂膜の表面は常に汗と皮脂で潤っている状態になっています。

汗と皮脂が混ざりあったものは、「天然の保湿クリーム」とも言われていて、肌表面からの水分の蒸発を防ぎ、角質を保護して肌を滑らかに整える役目を果たしています。

保湿は、ターンオーバーの正常化がカギになります

肌の角質層には天然保湿因子と細胞間脂質、そして角質層の上には皮脂膜があり、肌の水分量を維持して乾燥を防いでくれる要素がもともと備わっています。

しかし、肌のターンオーバーが乱れることによって、これらの乾燥に対抗する要素がうまく生成されなくなります。

つまり、保湿に関する因子の働きを正常化させるには、肌のターンオーバーの周期を正常化させることがカギになると言えます。

1.そもそも、ターンオーバーとは何?

「ターンオーバー」という言葉をよく耳にしますが、そもそもターンオーバーとは肌のどのような変化を説明している言葉なのでしょうか。

私たちの肌は常に生まれ変わっています。
表皮のもっとも奥にある「基底層」で誕生した新しい肌細胞は、下から押し上げられ成長しながら徐々に肌の表面へと押し出されていきます。

肌の表面へ押し出された角質細胞は、下から押し上げられてくる新しい角質細胞にその席を譲るかのように、垢となって皮膚からはがれ落ちていきます。

ターンオーバーとは、基底層から新しい細胞が生まれて、垢となってはがれ落ちるまでの一連の流れのことをいいます。

通常、ターンオーバーのサイクルは人によっても違いますが、4~6週間と言われており、年齢が高くなればなるほどその周期が長くなっていきます。

2.ターンオーバーの周期を乱す原因
ターンオーバーの周期は、日常のさまざまなことが原因となって長期化します。たとえば、先ほども説明した加齢が挙げられます。

また、現代人に多くのしかかるストレス、睡眠不足などに代表される疲労、バランスの悪い食生活、長時間メイクをしたままの肌へのダメージ、メイクの洗い残しなどもターンオーバーを長くします。

ターンオーバーが長期化すると肌細胞の新陳代謝が衰えるため、シミ、肌のかさつき、くすみ、キメの乱れなどの原因になります。

逆に、ターンオーバーが短くなってしまうこともあります。たとえば、洗顔時の摩擦、日焼けなどの炎症、ピーリング剤の頻繁な使用などです。

このようなことが原因でターンオーバーが短くなってしまうと、肌の乾燥、肌の赤みやかゆみといった肌トラブルに悩まされることになります。

3. 乾燥肌対策として、ターンオーバー周期の正常化を目指しましょう

このように見ていくと、肌の保湿力を担っている細胞を健全化、活性化させるためには、肌のターンオーバーの正常化が欠かせないことがわかりました。

生活習慣や食生活などを見直したり、積極的にストレスを解消したりすることはもちろんですが、毎日のスキンケアでもターンオーバーを整えていくための努力も忘れてはなりません。

まず、肌に直接潤いを与える保湿ケアを心がけましょう。肌表面からも水分を与えて肌のキメを整えれば、メイクの載りなども改善できます。

保湿ケアには、保湿成分の入った化粧品選びがポイントになります。
例を挙げると、天然保湿因子に近い働きを持つ美容成分は、アミノ酸やグリセリンです。

また、肌の表面で保湿力を発揮してくれるのは、ヒアルロン酸やコラーゲンといった成分です。細胞間脂質に似た働きが期待できるのはセラミド、皮脂膜の代わりになる働きができるのはワセリンです。

このような保湿に関係する成分が配合されている化粧品を選んで、組み合わせて使用することで、肌の表面から保湿力を高めることができるのです。

日常生活の見直しもお忘れなく

日常生活の見直しもお忘れなく
保湿効果の高い化粧品を使っていても、毎日の生活を改めなければ、加齢によるターンオーバーの乱れによって肌の乾燥がすすんでしまいます。

加齢によるターンオーバーの乱れは誰にでも訪れますが、少しでも軽減させるためにも、日常生活の改善は必要なのです。

そのためにはまず、睡眠時間をしっかりと確保しましょう。

就寝2時間前に入浴を終わらせ、就寝前のテレビ、パソコンやスマートフォンの使用は控えましょう。アロマや音楽などを取り入れて、リラックスして眠りにつける環境を整えると質の高い睡眠に結びつくようです。

また寝つきがよくなるように、日中には適度な運動を心がけることが大切です。体を動かすことで血の流れがよくなり、肌のすみずみまで栄養が行き渡ることでターンオーバーの正常化にも役に立ちます。

食生活の改善も積極的に行いましょう。
皮膚を作るため上質なタンパク質を摂取すると同時に、新陳代謝をサポートするビタミンB群や肌のキメを整えてくれるビタミンAも欠かさないようにしましょう。

(まとめ)どこからともなく忍び寄る乾燥肌の兆候には、徹底した保湿を行いましょう

1.私たちの肌には、もともと保湿の役割を担っている物質が備わっている
2.ターンオーバーの乱れにより、それらが健全に生成されないことが乾燥肌の原因
3.保湿成分の入ったスキンケア製品を使って、外側からも保湿力を高めることが大切

私たちの肌は、もともと水分を肌の内側に蓄えておくための働きを担った物質があります。しかし、ターンオーバーの乱れによって、それらが健全に生成されなくなる場合があります。

そうなると、肌は砂漠のように乾燥してしまいます。
スキンケアで保湿力を高め、毎日の生活習慣を見直すことで、ターンオーバーを正常化し乾燥肌を予防・改善していきましょう。

関連記事一覧