バリア機能を高めて乾燥肌トラブルを防ぐ方法

バリア機能を高めて乾燥肌トラブルを防ぐ方法

乾燥肌トラブルを防ぐためにはバリア機能を高める工夫を

「お肌のバリア機能」って聞いたことがありますか?

頑張ってスキンケアをしているのに、乾燥肌や敏感肌をはじめとする肌トラブルが治らないと感じたことはありませんか?
それは、お肌の『バリア機能』が低下しているのかもしれません。

本来のスキンケアは、この『バリア機能』を正常で健康な状態に保つことが重要です。
『バリア機能』について理解し、その機能を高めることで、乾燥知らずのお肌を手に入れましょう。

お肌のバリア機能ってなに?

お肌のバリア機能ってなに?
私たちの体の表面を覆っている皮膚には、『バリア機能』と呼ばれる働きがあります。
皮膚の一番外側には、『角質層』と呼ばれる薄い層があり、健康な角質層には、10%~30%程の水分が含まれています。そして、二つの機能を持っています。

一つは、紫外線や乾燥、細菌などの外部刺激から体を守る働き。
もう一つは、体内の水分が蒸発してしまうのを防ぐ働きです。
この二つの働きのことを『バリア機能』といいます。

角質層の水分量が低下すると、『バリア機能』も低下します。
『バリア機能』が低下した肌は、外部の刺激に敏感になり、乾燥したりかゆみを感じたりします。

そうなると、乾燥肌や敏感肌といった、肌トラブルが増えてしまうのです。
スキンケアを行う際、『バリア機能』を維持することにポイントをおくことが、肌トラブルを防ぐカギになるのです。

3大保湿因子とは?

お肌の『バリア機能』は、角質層の中にある3つの保湿因子によって維持されています。

  • 皮脂膜
  • 天然保湿因子(NMF)
  • 角質細胞間脂質

この3つは『3大保湿因子』と呼ばれていて、それぞれ異なった働きがあります

では、役割を見ていきましょう。

皮脂膜

お肌の一番外側にあり、角質層を覆っている薄い膜です。
細菌の増殖を抑制し、外部刺激をブロックしてくれます。
また、お肌の水分の蒸発を防ぐ役割があります。

天然保湿因子(NMF)

角質層の内部にあり、水分を保持する役割があります。
『天然保湿因子(NMF)』の半分はアミノ酸でできていて、高い吸湿性があります。
この『天然保湿因子(NMF)』が水分を保持することで、弾力性のある健康な角質層が形成されます。

角質細胞間脂質

角質層の細胞と細胞のすき間を埋めていて、水分の蒸発を防ぐと共に、細菌などの異物の侵入を防ぐ役割があります。
主成分であるセラミドは、保水力が高く、お肌の潤いを保つのに役立ちます。

『バリア機能』を正常に働かせるためには、これらの『3大保湿因子』のバランスがとても重要で、潤いのあるお肌を作ることができるのです。

バリア機能が低下するとどうなるの?

バリア機能が低下するとどうなるの?
お肌の『バリア機能』は、乾燥や紫外線、外部からの刺激により角質層がダメージを受けると、機能が低下してしまいます。

『バリア機能』が低下すると、水分を保つ力が弱まり、乾燥肌になります。

また、細菌等の外的刺激が内部に侵入しやすくなるため、様々なトラブルを招いてしまいます。

『バリア機能』が低下することによるトラブルを見てみましょう。

乾燥肌・敏感肌

体内の水分が蒸発しやすくなると、乾燥した肌になります。
お肌の乾燥が悪化すると、外的刺激にとても弱くなり、インナードライ肌や敏感肌の原因にもなります。
細菌の侵入を防ぐことができなくなるため、炎症やかゆみを引き起こします。

>シミ・くすみ

紫外線によるダメージで、メラニンが活動し、シミを増やしてしまいます。
また、外的刺激からお肌を守るために、角質層は厚さを増します。
この角質層の厚みがくすみの原因となります。

たるみ・シワ・ほうれい線

お肌の水分量が低下することで、シワができます。
また、外的刺激である紫外線は、コラーゲンやヒアルロン酸を破壊してしまうため、お肌のハリが保てなくなり、たるみやほうれい線を作ってしまうのです。
水分量が低下すると、ターンオーバーも乱れます。

その結果、様々なトラブルが発生するのです。

バリア機能低下の5大要因

『バリア機能』についてとお肌の構造について、お話しいたしました。

皮膚の角質層は、体を乾燥から守るために3層の構造でできています。

『バリア機能』が正常に働くだけでも、健康なお肌を手に入れることができるのですが、その機能を低下させる様々な要因もあります。
お肌のためと思ってしているスキンケアがちょっと間違っていたりして、なにげない日常生活の中に原因が潜んでいます。

それでは、お肌の『バリア機能』を低下させる要因を5つ、ご紹介します。要因を理解して、日常生活を改善するだけでも、『バリア機能』を正常にすることができるでしょう。

1.スキンケアの間違い

1.スキンケアの間違い
健やかな肌のために、毎日のスキンケアは欠かせません。

それゆえ、スキンケアの間違いが、『バリア機能』の低下を招いてしまうのです。

スキンケアの間違いの多くは二つあります。

一つは洗顔やクレンジングの方法です。

毎日の洗顔やクレンジングで皮脂を落としすぎている場合があります。
皮脂が過剰に分泌されると毛穴の開きや吹き出物といったトラブルを招いてしまいますが、適度な皮脂は、保湿クリームの働きがあり、肌の保湿には必要なのです。

洗浄力の高い洗顔料やクレンジング剤には、界面活性剤という成分が多く含まれています。
この界面活性剤は、お肌に大きな負担をかけるだけでなく、細胞間脂質の主成分であるセラミドを減少させます。
必要な皮脂を落としてお肌の水分が蒸発してしまうと、乾燥し、外部刺激によって傷つきやすくなります。
その上に、セラミドまで減少してしまうと、保湿力も低下します。

その結果、『バリア機能』が低下してしまうのです。

2.紫外線

紫外線を浴びるとお肌はどんな反応をしているのかご存じでしょうか。

お肌が紫外線を浴びると、活性酸素が発生します。
本来、活性酸素は、体内に入った細菌やウィルスを攻撃する役割ですが、過剰に活性酸素が発生すると正常な細胞を攻撃してしまうのです。

これは、強い殺菌能力を活性酸素が持っているからで、細胞に悪影響を及ぼします。
活性酸素の強さは、皮膚がんを発生させる要因になるほどの威力があるといわれています。
皮膚で発生した活性酸素が、真皮にまでダメージを与えるようになると、お肌の中のヒアルロン酸やセラミドを減少させます。

また、室内や紫外線の少ない季節であっても、肌細胞は紫外線から肌を守るために角質を厚くします。
これは、『角質肥厚』といわれ、不要な角質を肌表面に残してしまうのです。

このようなことが積み重なり、複合的に作用すると、肌は保湿成分が奪われてしまい、乾燥し、『バリア機能』が低下します。

3.外気による影響

3.外気による影響
皮膚の一番外側にある『角質層』はとても薄い層でできています。
この薄い膜が、外気による影響を受けると、どうなるでしょう。

お肌は一年を通して、外気の負担を受けるのです。

春は、花粉が多く飛んで刺激を与えます。

夏はエアコンの冷風によって乾燥します。

秋は空気が乾燥しやすい時期です。

そして、一番乾燥しやすいのが冬です。
冬は屋内の暖房で、屋外は冷気によって、どこにいても乾燥する季節です。

花粉が肌に触れることは、肌ストレスの原因になります。

乾燥した空気は、肌表面の皮脂膜を乾燥させ、お肌の中の水分を蒸発させます。
肌下層の水分が少なくなる現象をインナードライ肌といいます。

このインナードライは、シワやほうれい線、肌荒れ、吹き出物、毛穴の開きといった、様々なトラブルを引き起こす要因です。

こうした肌トラブルが原因で、角質層自体が弱ってしまい、『バリア機能』の低下につながるのです。

4.生活習慣の乱れ

生活習慣の乱れは、『バリア機能』の低下の原因になります。

食生活、睡眠不足、飲酒、喫煙などの不摂生な生活を続けることは、肌トラブルの要因です。

成長ホルモンの分泌と睡眠は密接な関係があります。
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、細胞を生まれ変わらせる働きがあり、ターンオーバーを正常にします。
睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌ができず、ターンオーバーまで乱れてしまいます。

また、細胞間脂質の成分であるセラミドは、睡眠中に生成されます。
このセラミドが十分に生成されないと、お肌の潤いはなくなり、乾燥してしまいます。

バランスのよい食事は、細胞に必要な栄養素を取り入れることができます。
偏った食生活は保湿成分が作り出せないばかりか、過剰な皮脂分泌の原因になります。

不規則で偏った食生活、睡眠不足が続くと、体調不良を起こし、免疫力の低下につながり、肌荒れを起こす要因になっているのです。

5.加齢

5.加齢
加齢は、『バリア機能』の低下要因の一つです。

40歳を過ぎるころから、肌の皮脂量は増え始めますが、その反面、水分量は年齢を重ねるにつれ、年々減少していきます。
細胞と細胞をつなぎ合わせる『角質細胞間脂質』の主成分はセラミドですが、このセラミドも年齢と共に減少していきます。

セラミドは、生まれた時が最大量で、年々減少し、30歳を過ぎると、その減少量は大きくなるのです。
セラミドが減少すると、細胞の重なりが密接でなくなるので、水分の蒸発が増えてしまいます。
水分の蒸発で乾燥した肌は、紫外線や外気のダメージを受けやすくなります。

また、加齢により、ターンオーバーが正常に行われなくなります。
正常にターンオーバーが行われれば、新しい細胞がどんどん生まれ、古い細胞は約28日で表面まで上がっていき、角質として剥がれ落ちます。

ところが、老化原因でもある活性酸素が増えることで、新しい細胞を作り出す力が弱まり、コラーゲンやヒアルロン酸などの保湿成分も減少します。

こうした状態が続くことで『バリア機能』は低下してしまうのです。

バリア機能を維持して乾燥肌を改善しよう!

『バリア機能』を低下させる要因について、お話しさせて頂きましたが、いかがでしたか?

あてはまるものが、いくつかありましたか?

『バリア機能』が低下する要因は他にもストレスなど、様々なものがありますがトータルで対策をしていく必要があります。

『3大保湿因子』が、バランスよく保たれるとバリア機能が正常に働きます。

『バリア機能』を低下させる要因を知った上で、高める方法を、4つご紹介します。

健康的な美肌を維持するために、『バリア機能』を高める方法を試してみてください。

スキンケア方法や生活習慣を見直すことで、『バリア機能』の低下は防げます。

1.洗顔方法の見直し

1.洗顔方法の見直し
洗顔の目的は、汗や皮脂、ほこりなどを落とすことです。

洗顔料やクレンジングは、界面活性剤や摩擦による負担が少ない、クリームタイプやジェルタイプがオススメです。

洗顔料は手のひらや洗顔ネットで十分に泡立てて使います。
泡で肌を包みこむようにして、手のひらで肌をこすらないようにします。
手のひらとお肌の間の泡をクッションにするイメージです。
ぬるめのお湯で、優しく泡を洗い流します。
洗顔後、拭く時はタオルを肌に当てて、こすらないようにして、肌の水分をタオルに吸わせるようにします。

朝の洗顔は、洗顔料は必要ありません。
ぬるま湯でそっと洗いましょう。

ごしごし力を入れて、あるいは熱いお湯での洗顔は、保湿成分を奪い、乾燥を招きますので避けましょう。

熱いお湯を使うと皮脂が溶け落ちてしまうので、おすすめできません。
お肌を守るために必要な皮脂や角質は、落とし過ぎないよう注意しましょう。
シャワーを直接顔に当てるのは刺激が強く、よくありません。

2.紫外線対策

2.紫外線対策
『バリア機能』を維持するためには、紫外線対策が重要です。

紫外線は日の出から日没まで、一年中、降り注いでいます。
紫外線はガラスを通り抜けるので、室内にいても、油断はできません。

夜間以外の紫外線対策は必須項目なのです。

日焼け止めなどの紫外線対策は、春夏秋冬、一年中必要です。

外出時だけでなく、屋内でも

  • UVカットクリーム
  • ファンデーション
  • フェイスパウダー

の使用をオススメします。

日焼け止め効果のあるベースメイクや、UVカットアイテムを使用するなどの工夫もいいですね。

日焼け止めは、SPF20、PA++以上のものを使用しましょう。

使用感によっては、SPFやPAの低いものをこまめに塗りなおすことも必要です。

最近では、日焼け止めクリームの代わりに、飲む日焼け止めも販売されています。

こうした日焼け止めサプリは、肌トラブルで日焼け止めを塗りたくない時でも紫外線対策ができます。

3.生活習慣の改善

睡眠と食生活の改善は『バリア機能』の維持に欠かせません。

成長ホルモンの活発な分泌を促すために、夜10時から翌2時までの間に眠れるようにし、6時間以上の睡眠を確保しましょう。

質のよい睡眠のために部屋を薄暗くし、電子機器の使用は控え、カフェインの摂取は就寝前はよくありません。

寝る前の入浴は効果的です。バランスのよい食事をとることも重要です。

『バリア機能』にとって重要なセラミドは、栄養不足に陥っても減少します。

良質なたんぱく質は、

  • 乳製品

などから摂取できます。

ターンオーバーを正常に働かせるためにとりたい栄養は以下になります。

ビタミンA
  • 緑黄色野菜
  • 豚レバー
亜鉛
  • 牡蠣
  • 豚レバー
ビタミンC
  • 果物

できるだけ食事から摂取するのが理想的ですが、難しい時は、サプリメントを利用するのもいいですね。

睡眠をしっかりとり、バランスのよい食生活は、健康維持のためにも大切です。

4.理想的な保湿方法

4.理想的な保湿方法
洗顔後や入浴後は、時間と共に、肌の水分量は減少していきます。

洗顔後はできるだけ早くスキンケアをしましょう。

肌に刺激を与えないように手のひらでそっとのせるように、化粧水をなじませます。

  • 保湿
  • 美白
  • エイジング

など、目的に合わせて美容液は使用します。

化粧水で潤ったお肌は、美容成分が角質層に浸透しやすく、効果が期待できます。
化粧水や美容液は蒸発しやすいため、保湿クリームや乳液で蓋をしましょう。
バリア機能が低下している時は、保湿クリームがオススメです。

セラミド配合の保湿クリームを選ぶと『バリア機能』の回復が促進されます。
セラミドは、角質細胞間脂質の主成分ですから、肌に優しく、なじみやすいのです。

様々なセラミドがメーカーから販売されていますが、その中でも、ヒト型セラミドは、人間の肌にあるセラミドと、構造が似ているため、保湿効果がもっとも期待できる商品です。

お肌の状態に合わせて、スキンケア商品を選んでみましょう。

まとめ

1.お肌には『バリア機能』があり、この『バリア機能』が正常に働くことで、健やかなお肌になる
2.『バリア機能』の維持は3大保湿因子である『皮脂膜』、『天然保湿因子(NMF)』、『角質細胞間脂質』が重要な役割である
3.『バリア機能』が低下すると、様々な肌トラブルを引き起こす
4.『バリア機能』を低下させる要因には、・スキンケアの間違い・紫外線・外気による影響・生活習慣の乱れが影響する
5.『バリア機能』を維持するためには、・洗顔方法の見直し・紫外線対策・生活習慣の改善・理想的な保湿方法が重要である

乾燥肌と『バリア機能』について、いかがでしたか?

『バリア機能』を高めることが、お肌のトラブルを防止する最善の方法なのです。

間違ったスキンケアや生活習慣を見直し、健やかな美肌を手に入れてください。

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